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Radeon RX 6000シリーズ ラインナップ妄想 (2021-07-04) - u/cyatarow

2021-07-04: 業務用製品 Radeon Pro W6000シリーズ 正式発表(Navi 21/Navi 23)、Radeon RX 6900 XT Liquid Cooled 正式発表(Navi 21 XTXH)、RX6700無印の発売中止かもしれない推測
デスクトップ向け:
GPUコア Radeon CU バス幅 Inf.C. VRAM TBP MSRP
(四捨五入)
性能から見た
適正価格(税込)
競合GeForce
Navi 21 XTXH RX 6900 XT [水冷/LC] 80 256-bit 128 MB 16 GB 330 W $ ???? 13.0万~ 円 RTX 3090
XTX RX 6900 XT [空冷] 300 W $ 1000 12.0万~14.0万 円
XT RX 6800 XT 72 256-bit 128 MB 16 GB 300 W $ 650 8.0万~9.5万 円 RTX 3080
XL RX 6800 60 256-bit 128 MB 16 GB 250 W $ 580 7.2万~8.5万 円 RTX 3070
Navi 22 XT RX 6700 XT 40 192-bit 96 MB 12 GB 230 W $ 480 6.0万~7.0万 円 RTX 3060 Ti
XTLH? 200 W?
ここまで登場済
Navi 22 XL RX 6700 開発中止?
Navi 23 XT RX 6600 XT 32 128-bit 32 MB 8 GB 140 W $ 300 4.0万~5.0万 円 RTX 3060
XL RX 6600 28 128-bit 32 MB 8 GB 100 W $ 240 3.3万~4.2万 円 RTX 3050/Ti
Navi 24 XT RX 6500 XT 16 64-bit 16 MB 4 GB 75 W $ 150 2.1万~3.0万 円 RT 3040?
XL RX 6400 XT 8 64-bit 16 MB 4 GB 50 W $ 90 1.2万~1.8万 円 RT 3030?

ノートPC向け(すべて発表済み):
GPUコア Radeon CU バス幅 Inf.C. VRAM TBP 競合GeForce
Navi 22 XTM? RX 6800M 40 192-bit 96 MB 12 GB 145 W以上 RTX 3080(ノートPC用)
XLM? RX 6700M 36 160-bit 80 MB 10 GB 80~135 W RTX 3070(ノートPC用)
Navi 23 XLM? RX 6600M 28 128-bit 32 MB 8 GB 50~100 W RTX 3060(ノートPC用)

業務用(すべて発表済み):
GPUコア Radeon CU バス幅 Inf.C. VRAM TBP 競合
Navi 21 XL? Pro W6800 60 256-bit 128 MB 32 GB 250 W Quadro RTX 5000
Navi 23 XL? Pro W6600 28 128-bit 32 MB 8 GB 100 W ?

RX 6900 XT(登場済み)

6900XT自体はとっくに登場済みだが、興味深い話題があったので記す。
4月下旬に、「Radeon RX 6900 XTX」と称する製品(エンジニアリングサンプル)の写真がリークされた。
見た目は完全にリファレンスモデルで、120mmラジエーターつきの水冷モデルである。
実はこの時期に、「Navi 21 XTXH」なるGPUコアがひっそりと登場しており、ASRockやSapphireなどの超高級(30万円前後!!)水冷版6900XTに採用されている。
6900XTXは、そのNavi 21 XTXHのリファレンスモデルと推定され、個人的には「AMD内部でリファレンスモデルが試作されたものの、お蔵入りになってしまった」のだと思い込んでいたが・・・

6月16日、そんな6900XTXが突如として発表された。6900XTXではなく「RX 6900 XT Liquid Cooled」という名前になっているが。
今のところ単体販売の予定は立っていない。

RX 6700 無印

3月下旬に、6700無印のパッケージ画像が(誤って)公開されて以来、6700無印に関する情報がストップしてしまっている。
さらに5月以降、未発表Radeonのリーク情報は、RX6600(XT)のものばかりが出てくるようになった。
これらの現状から察するに、6700無印は発売中止に追い込まれてしまったのではないかと推測している。

推測に推測を重ねるが、6700無印の発売中止の理由として、自分なりに2つ考えた。
  1. 昨今の半導体不足により、Navi 22の製造量が限られてしまい、6000Mシリーズの供給を優先させるために、6700無印に使うはずだったNavi 22のダイを6800M・6700Mに回している
  2. もともとNavi 22はそんなにたくさん生産する予定はなく、6700無印の計画自体も初めから存在しなかった。つまりリーク情報がフェイク
さらに、6月下旬には、AMDの公式ドライバ内にRX 6600 無印・XTの記述が見つかったと報じられたものの、逆に6700無印が全く写っていないことも、発売中止の疑惑に拍車をかけることになった。それにしては、公式発表済みの6700Mの記述もないのが変だが(6800M・6600Mはある)

VRAMの量について(クリックで展開) ところで、上記のパッケージ画像にも写っているが、6700無印のVRAMは6GBになるらしい。しかし、6GBというのはちょっとおかしいのではないかと思う。
まず、競合のRTX3060無印が12GB積んでいて、しかもAMD自身が6700XTの発表時に「WQHDでは8GB以上ないと足りないぞ」とも宣伝している。
Navi 21を使用した、6900XT・6800XT・6800無印の3つは、どれも4Kターゲットだった。6700XTのすぐ下、6700無印がいきなりフルHDターゲット、というのは急すぎて考えにくい。WQHDターゲットは6700無印でも維持されるだろう。
そんな6700無印が、6GBまで落としたりしたら、前述の宣伝が嘘になりかねない。6700XTでは、OEMが勝手に6GBまで削ったりできないようにしていたたため、尚更である。
また、下記の6600はVRAMを8GB搭載するといわれており、そうなると搭載量の序列が崩れることになってしまう。[6700XT]12GB→[6700]6GB?→[6600XT]8GB
6GBモデルと12GBモデルの2モデル体制で売り出すという可能性もあるが(RX480や5500XTが4GB・8GBの2モデル体制だった)、とにかく6GBだけというのはやめていただきたい。

余談だが、6700Mのスペックが興味深いことになっている。
6800Mは6700XTのスペックを踏襲しているが、6700Mは同じNavi 22であるにもかかわらず、CU数だけでなくInfinity Cache・VRAMまで減らされている。(それぞれ80MB・10GB、おそらくバス幅も160-bitだろう)
ノート向けとはいえ、このような数字は過去のリークに現れておらず、ちょっと謎である。
開発中止でない場合の想定スペック
GPUコア Radeon CU バス幅 Inf.C. VRAM TBP MSRP
(四捨五入)
性能から見た
適正価格(税込)
競合GeForce
Navi 22 XL RX 6700 36 192-bit 96 MB 6or12 180 W $ 400 5.0万~6.0万 円 RTX 3060

RX 6600 XT・無印

当初、XTモデルのみ存在が確認され、VRAMは12GBになると伝えられていたものの、それ以降しばらく情報が途絶えていた。だが、5月に具体的なスペックが判明した。
最大32CUと、上位のNavi 22にかなり近くなっているが、VRAMやバス幅を変えることでなんとか差別化している模様。

5000シリーズとは異なり、x700番とx600番とで、使うGPUコアを変えてきた形となる。
5600XTのときは、先に登場していた5700無印と同じ、Navi 10の36CU品を使った(実性能もほぼ同じな上に、5600XTのほうが安価)ことで、5700無印の存在意義を潰してしまっていた。
おそらく、GeForce RTX 2060 Superの出現により、それに対抗する必要性が生じたために、仕方なく5700無印と近い仕様で出したのであろう。
(なお、OEM限定の5600無印は32CUである。)
今回の6000シリーズでは、ラインナップの整合性を崩してまで無理にGeForceに対抗する必要はない、というAMDの自信が表れているようだ。

以前出ていたNavi 23の詳細スペックの情報(フルHD向け、最大32CU、Infinity Cache 64MB、VRAM 8GB[バス幅128-bit])とだいたい一致しており、このNavi 23の情報を全面的に信じるならば、6600はフルHD向けということになる。

なお、Infinity Cacheに関しては、上述の64MBになるという話だけでなく、32MBだという話もあり、錯綜していたのだが、
6000Mシリーズの正式発表とともにNavi 23(6600M)もお披露目になり、Infinity Cacheは32MBとなった。(同時に、Navi 23はフルスペックだと32CUであることも確定した。つまり6600Mはカットダウン版である)
32MBの根拠についてだが、どうやらメモリチャネルあたりのキャッシュ量が、Navi 22のものよりも半減していて、バス幅128-bitならば64MBではなく32MBになるとのこと。

さらに、同じ「6600」の名を持つ、Radeon Pro W6600も登場。6600M同様、28CUのカットダウン版Navi 23を採用している。なんでゲーマー向けRX6600じゃないんだよ
公開された演算性能(最大10.40 TFLOPS)から、VideoCardzがクロック周波数を逆算したところ、なんと2.9GHzという結果が出た。
GPUクロックが、オーバークロック無しで3GHz近い値を叩き出すというのは、前代未聞の事態である。しかも、そんなクロックを出しておきながら、TBPは100Wに収まってしまう。
恐るべしRDNA2。デスクトップ版RX6600が出てくれば、普及価格帯の王者はコイツで間違いなし。

Radeon Pro W6600 peak FP32
10.4 TFLOPS / 1792 cores / 2 = 2900 MHz GPU Clock 🤔

— VideoCardz.com (@VideoCardz) June 8, 2021

そして、7月に入って早々、6600XTのリファレンスモデルの画像がリークされた。(実機の写真ではない)
シングルファンであることと、補助電源コネクタが8ピン×1になっていることが確認されている。
特にシングルファンである点については、今年1月のCES 2021の発表会にて、「COMING 1H 2021(2021年上半期登場)」という文と共にしれっと映し出されていた画像にソックリである。(だが、「1H 2021」の公約は果たせなかった)

GPUコア Radeon CU バス幅 Inf.C. VRAM TBP 競合GeForce
Navi 23 XT RX 6600 XT 32 128-bit 32 MB 8 GB 140 W RTX 3050 Ti
XL RX 6600 28 128-bit 32 MB 8 GB 100 W RTX 3050

(参考)5000シリーズのラインナップ抜粋
GPUコア Radeon CU バス幅 Inf.C. VRAM TBP 競合GeForce
Navi 10 XL RX 5700 36 256-bit なし 8 GB 180 W RTX 2060(S)
XLE RX 5600 XT 36 192-bit なし 6 GB 160 W RTX 2060(S)
XE RX 5600 32 192-bit なし 6 GB 150 W ?

RX 6500以下のグレード

6500(XT)以下のグレードについては、具体的な名前がまだ出ていないので予想は難しい。
そんな中、Navi 23よりもさらに下位のGPUコアとされる、「Beige Goby」(おそらくNavi 24)の一部スペックが5月中旬にリークされた。
この他、ディスプレイエンジンやエンコーダなどの機能がNavi 23よりも削られているようで、ここまで規模が小さいGPUとなると、APU向けではないかと考えたくもなるが、これでもdGPUとして作っている、というのだから驚きである。
レイトレーシングができるかは不明。

これほど小規模なGPUは、2017年のPolaris 21(RX560)以来、4年ぶりとなる。
AMDは、ハイエンドからローエンドまで、すべてをRDNA2で染め上げるつもりなのかもしれない。

規模からしてノートPC用のdGPUと思われるが、もしNavi 24がデスクトップ向けに出てくるとしたら、RX560・550以来となる、補助電源不要な製品になるだろう。
しかし、AMDに補助電源不要なロークラスモデルを作る気があるのか疑わしい。5000シリーズのときは、5500XTはおろか、それよりもグレードが下で、OEM限定の5300ですら100W必要だったほどだ。
仮に出せたとしても、OEM専売になりそうな予感…。
GPUコア Radeon CU バス幅 Inf.C. VRAM TBP 競合GeForce
Navi 24 XT RX 6500 XT 16 64-bit 16 MB 4 GB 75 W RT 3040?
XL RX 6400 XT 8 64-bit 16 MB 4 GB 50 W RT 3030?

(参考)5000・500シリーズのラインナップ抜粋
GPUコア Radeon CU バス幅 Inf.C. VRAM TBP 競合GeForce
Navi 14 XTX RX 5500 XT 22 128-bit なし 4or8 130 W GTX 1660
XT RX 5500 22 128-bit なし 4 GB 150 W ?
XL RX 5300 22 96-bit なし 3 GB 100 W GTX 1650
Polaris 21 XT RX 560 16 128-bit なし 4 GB 60~80 W GTX 1050
XL RX 560(D) 14
Polaris 12 (Lexa PRO) RX 550 8 128-bit なし 2 GB 50 W GT 1030
※5500無印: OEM限定。とはいっても、8GBモデルが無いという点以外は、XTの定格と同じ仕様なのに、なぜかTBPが高い。